ニホンワインノミクス!

日本ワインを応援しつつ、ときどき経済学的視点で考えてみるブログ。

信州ワインサミットで6次産業化について考えてみる

こんにちは!ミユです。

6月1日(金)〜10日(日)まで長野県松本市で開催されていた「2018 信州ワインサミットin 松本」に行ってきました。

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今年で開催5回目の人気ワインイベントですが、開催前に日経新聞農業の6次産業化の事例として取り上げられていました。

そこで今回は、6次産業化について説明し、信州ワインサミットでどのように実現しているのかを考えてみたいと思います。

6次産業化とは?

知ってるよーという人は適当に読みとばしてください。

6次産業化とは、第1次産業の農業・林業・漁業・畜産業などが、製造・加工(第2次産業)、流通・販売(第3次産業)にも業務展開し、新たな付加価値を生み出すことです。

新たな付加価値を生み出すためには、新しいアイデアや人材が必要になり、他業種との連携新たな雇用が欠かせません。結果として、その事業者が儲かるだけでなく、地域全体の活性化につながります。

つまり、

1×2×3=6

で6次産業です。

1+2+3=6 も同じでは?

と思った方もいるかもしれませんが、

  • 第1次産業が衰退すると成立しない(0×2×3=0
  • 有機的・総合的結合を図る

といった性質から、足し算でなく掛け算で表現されます。

地域振興につながる6次産業化は、政府も当然注目しています。

農林水産省では、2011年3月に施行された「六次産業化・地産地消」に基づき6次産業化事業計画の認定を行なっていて、認定を受けた事業者は、融資や法律の特例措置を受けることができます。

ワインで6次産業化

「ぶどう農家がワインを造って販売する」というのはそう珍しいことではありませんが、農家がこれを単独でやるだけでは、6次産業化とは言えません。

例えば、地元の食品加工会社と協力してワインを使った新商品を開発したり、販路を広げるために小売店やレストランに働きかけるなど、他産業との連携があって初めて6次産業は成立します。有機的・総合的結合ということです。

では、ワインを使った6次産業化にはどのようなものがあるのでしょうか?

前述の農林水産省認定事業計画をチェックしてみたところ、ワインの製造が関連する事業計画は全2356件中61件あり、次のような内容が多く見られました(2018年5月31日時点)。

  • 自社栽培のぶどうを原料とするワインの製造・販売
  • ワイン用ぶどうやワインの搾りかすを使った新商品の開発・販売
  • 上記の飲食事業への展開(レストランの運営など)

前置きが長くなりましたが、信州ワインサミットでどのように6次産業化が行われているのかを見てみましょう。

信州ワインサミットとは?

信州ワインサミットは、松本オクトーバーフェスト実行委員会が主催する ”信州の魅力を存分に楽しめる食とワインの祭典” です。

昨年までは開催期間が6日間でしたが、第5回の今年は10日間に拡大。長野県内の食イベントとしては集客力が高く、昨年の来場者は1万2000人、今年は開催前の時点で1万8000人を見込んでいました。

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会場は、JR松本駅から徒歩5分の花時計公園。市街地のまん中です。平日は17:00〜21:00、土日は11:00〜21:00までオープンしているので、私のような観光客だけでなく、地元の人たちが仕事帰りや買い物ついでに立ち寄るのにもちょうどよさそうです。

写真は9日土曜午後の会場の様子。なかなかの盛況ぶりです。

この飲食スペースを囲むように、ワインブース松本市内の飲食店12社によるフードブース、音楽の演奏などを行うステージが設営されています。

県内49ワイナリー・約140種類を飲み比べ

イベントは入場自由、ワインやフードはすべて有料です。

さすがワイナリー数、日本ワインの生産量ともに全国2位を誇る長野県。県内の49ワイナリー(委託醸造含む)の約140種類のワインを飲み比べできます。生産者の来場はありませんが、ソムリエの皆さんがワイン選びのサポートをしてくださいます。下の写真はワインブース。ワインのタイプによって売り場が分かれています。

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ワインは60ml/120ml/ボトルの単位で販売され、価格帯は60mlあたり300円のリーズナブルなものから1000円を超えるものまで、とにかく豊富な品揃え。初回購入時にグラスデポジット1000円を支払い、帰るときにグラスを返却すれば返金されます。グラスはリーデルです。

私は初めて参加しましたが、毎回同じシステムのようです。

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こちらは、東御市・まんまる農家さんの天然酵母を使ったワイン・Kurakake Rouge。ワインは委託醸造です。県外ではなかなかお目に掛かれないのではないかと思います。ちなみに、グラスの右の棒の黒い線で60mlと120mlを計っているそうです。

どんなところが6次産業化なのか?

長野県では6次産業化の動きが盛んで、先ほどカウントしたワイン製造に関連する事業計画の件数を都道府県別に集計してみたところ、グラフのように長野県はダントツの1位でした。

ワイン関連の総合化事業計画・都道府県別認定件数ベスト6

ただし、信州ワインサミットは、認定事業計画に掲載されていません

新聞で取り上げるほどなのになぜ?と思ったのですが、主催の松本オクトーバーフェスト実行委員会松本市内の飲食店や会社経営者などで構成されており、第1次産業の事業者ではないので農水省の範疇でないのだと思います。

では、どのようにして6次産業化に関与しているのでしょうか?

日経新聞では信州ワインサミットについて、次のように書かれていました。

農家とワイン製造、飲食・サービス業との連携を進め、日本を代表するワインイベントをめざし、観光・食品産業の発展につなげる。

日本経済新聞 2018年5月31日朝刊 地域経済面(長野経済)

つまり、

第1次産業の産物で造られたワインを、地元の食と共にPRするイベントをプロデュースして、観光客を誘致しよう!」

という感じでしょうか。

なるほど・・・

実際に私はこのイベントのために松本に行き、信州そばを食べ、近くの浅間温泉に宿泊しています。まさに狙いどおり!!

ちょっと残念な点

イベントで気になったのが、多くの来場者がいるわりにワインブースに人がまばらだったこと。時間帯によるのかもしれませんが、会場を眺めてみると、ビールやカクテルなどワイン以外の飲み物を飲んでいる人が結構います。そりゃあ、売っているので仕方ないです。

個人的には、ワインサミットを謳うのであれば、ワイン以外のアルコールは一切販売しなくてよいと思います。同実行委員会が毎年夏に開催しているビアフェス松本サマーフェスと役割分担したほうが、ワインもビールもより際立ち、来場者の印象にも残るのではないでしょうか。

まとめ

「日本ワインで日本経済を元気に!」をモットー(?)とするこのブログにとって、6次産業化はとても興味深いトピックです。今回は長野県に注目しましたが、今後も面白い事例があれば紹介したいと思います。

そして、信州ワインサミット。

このブログをご覧になる方の多くにとって松本は遠い場所かもしれませんが、会場は松本城などの観光スポットや温泉街にも近いですし、何といっても長野県のレアなワインを飲み比べできる貴重なイベントです。ぜひ来年以降の旅行プランにご検討ください^ ^

実はイベントで他にも面白い出会いがあったのですが、今回のトピックとの関連が薄いので、別の機会に書きたいと思います。

ではまたー

 

参考リンク

2018信州ワインサミット in 松本|信州のワインと食と人に出会える 10日限りの野外レストラン

長野の6次産業化、観光・食市場へ本格貢献めざす :日本経済新聞

農林漁業の6次産業化:農林水産省